こんにちは 川崎・横浜のマンション管理士 横倉啓子です。
私がいつも思うことは、防災の基本 … まず自分の身は自分で守る!
防災対策又は発災したときの対応としては、マンション(管理組合)としてできるもの、
マンション(管理組合又は自治会)が対応するもの、
個人(居住者)でそなえてもらうものに分けて考えるようにしています。
また地域の状況にも対応しながら町内会、行政とどのようにかかわるか等を管理組合として検討も必要です。
管理会社に管理委託しているから、管理会社が何でもやってくれると勘違いされている方もおられますが、管理会社や社員も被災します。災害時の対応については通常は管理委託契約書には明示されていません。
事前に管理会社との間で震災対策について、打ち合わせをしておくこともお勧めします。
マンションで想定する2大災害とは火災と震災です。
① 火災の場合 … 一刻も早く避難する!防火区画を守るために玄関や窓等の開口部は必ず閉め、消火活動のため玄関ドア、窓は施錠しないのがルールです。
② 震災の場合 … まず身の安全!
【地震時】 揺れを感じたり、緊急地震速報を受けた時は、身の安全を優先に行動する。丈夫なテーブルの下や、家具が倒れたり電気製品が飛んでこない室内の安全な空間に身を寄せ、揺れが収まるまで様子を見る(事前に確保しておく)。
【揺れが収まったら】 落ち着いて火の元確認、室内で転倒・落下した家具類やガラスの破片などに注意する。閉じ込め防止のために開口部を確保する。すぐに避難しようとせずに、無事であることを玄関ドアに張るなどして外に知らせて室内に留まり、情報を収集しながら様子をみる。
【その後、避難が必要になった場合】 二次被害を防ぐために電気のブレーカーを落とし、ガス、水道の元栓を締めて、しっかり施錠して避難する。さらに、避難先、連絡方法を必ず管理組合に届け出を行う等。
現実に大地震が発生したらマンションはどうなるのでしょうか!
マンションの防災の課題
マンションという新しい居住形体は、従来の木造・低層を中心とする戸建家屋のような地域の災害対策の延長では解決が難しく、マンションの特性に基づく災害対策を検討することが必要です。
・ 自治体の防災業務は、災害対策基本法(第40条)に基づき、都道府県知事と市区村長が、それぞれの防災会議に諮り作成する地域防災計画にもとづいて実施します。
東日本大震災の経験やその後の地震対策の見直しと平行して、各自治体の地域防災計画の見直しがすすめられていますが、一部の自治体を除き、現在新たな計画は公表されていません。
地域の防災計画はどうしても戸建の対策になっている故に
・ 避難所などもマンション居住者を受け入れる余裕はありません。
・ 公的支援の手が及びにくい
・ 外部に避難することも難しい
・ 戸建よりも建物が大きく損傷する可能性が少ない…しかし旧耐震のマンションは注意が必要です。
※ 大地震発生時に管理組合や居住者はマンションごとに自立して対応することの検討が重要です。
では管理組合としてどのように対応したらいいのでしょう…
① 住民が自宅で備えるもの、安全対策のリストを作って周知を徹底する。
管理組合の限られた予算で、共用部分に必要な備蓄機材等以外にも、個人が備蓄すべき水・食糧等を管理組合がフォローすることになると、賞味期限、消費期限、在庫等の確認、新規の食糧等の入れ替えなどが毎年必要になり予算と保管場所などが必要になる。
▼ 自宅の安全対策と備蓄品の準備 (参考資料) 横倉マンション管理士事務所オリジナルです。
② 管理組合で備える物の検討準備
・医薬品・救護機器(担架等)
・保護用品(ヘルメット、防災ずきん)
・停電用(自家発電機、投光器、懐中電灯、ヘッドライト等)
・作業用具(スコップ、土のう、ロープ、工具、軍手等)
・炊事用具(カセットコンロ、ボンベ)
・通信機器(メガホン、トランシーバー等)
・排泄用具(簡易トイレ、排泄物凝固剤、おむつ等)
・個人備蓄を超える水、食料
・その他(テント、ポリタンク、毛布等)
③ 地震発生直後にどう行動するかの検討
戸建とマンションでは対応が異なりますので、行政の防災のしおり等では反映されていないことがあります。マンションでの対応について、マンションの実情に合ったものを作って周知することが重要です。
④ 管理組合として非常事態の安否確認・支援体制の検討
援助が目的の、災害時専用名簿・要援護者届・災害時安否確認方法等を作成し各戸に配布、本人の意向の確認及び本人の任意の上で記載したものの保管・管理・非常時の開封などの検討をする。エレベーター内閉じ込め対策、ゴミ保管について等
⑤ 近隣で顔見知りの関係の必要性(コミュニティの種まき)
⑥ 地域や行政とのつながり
※ 多くの地域では行政との窓口は、個人の資産の建物、敷地、付属施設等共用部分の管理を行う管理組合よりも、親睦団体としての意味合いが強い自治会が多いです。
⑦ 竣工図書、修繕履歴の整備
被害を受けた場合、補修工事を行うためには、竣工図書等が必要です。定期的な大規模修繕工事でも必要ですから、無いような場合は、専門家に依頼するなどして作成が必要です。
⑧ 建物の耐震性の確認
昭和56年5月以前に建築確認申請された旧耐震基準の建物は注意が必要です。(特に、昭和46年5月の基準(柱の帯筋間隔の規定の強化)以前のものは注意が必要)。耐震診断を実施して実情を把握することが、建物の被害を最小限にするための一歩です。
なお「耐震改修促進法」の改定により、緊急輸送道路に面したマンションについては、耐震診断が義務付けられることがあるので、注意が必要です。
行政によって補助規定なども違いますから、ご自分の住んでいる地域の行政、専門家にご相談してください。
管理組合としては被災後の復旧も重要な業務です。復旧の費用をどのように捻出するか、緊急時の合意形成をどのように行うかなども、事前に検討しておくことも必要です。
各行政が発行している防災のパンフレット・しおり・冊子等は戸建地域中心に対応したものが多いため、管理組合としてどうしたらいいのかわからない方は、以下の冊子パンフレットが管理組合を対象にしていますので参考になります。
●東京都新宿区‥‥ 冊子「マンション防災はじめの一歩」
●財団法人マンション管理センター‥‥冊子「震災対策チェックリスト」
●東京都中央区‥‥高層住宅にお住まいの方、管理組合、管理会社の皆さまを対象に、大地震への備えなど平常時に必要な取り組みをまとめた「揺れる高層住宅!その時あなたは・・・(DVD・パンフレット)」