長期修繕計画と修繕積立金について  Vol.5

~マンションの修繕積立金に関するガイドライン~

みなさま、こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。

2014年10月8日、満月が地球にすっぽり入る皆既月食を見ることが出来ました。今回の皆既月食は、普段は暗くて探すことが難しい天王星が皆既月食の月の近くに浮かぶ好条件だったそうです。私の肉眼では天王星は見えませんでしたが、月が下から欠けていく姿を見ることが出来ました。午後7時28分頃に撮影をしたものです。

141008月食

今回は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国交省/平成23年4月)(ガイドライン)」についてです。

本ガイドラインは、主として新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金に関する基本的な知識や、修繕積立金の額の目安を示し、分譲業者から提示された修繕積立金の額の水準について判断する際の参考資料として作成されたものです。
(1)購入予定マンションの修繕積立金の額の目安
(算出式) Y=AX(+B)
   Y:購入予定マンションの修繕積立金の額の目安
   A:専有床面積当たりの修繕積立金の額(下表) 
   X:購入予定マンションの専有床面積(㎡)
   B:機械式駐車場がある場合の加算額)
①専有床面積当たりの修繕積立金の額(A)
  
   階数      /   建築延床面積   平均値         平均値の幅
【15階未満】     5,000㎡未満      218円/㎡       ・月165円~250円/㎡・月
             5,000~10,000㎡     202円/㎡       ・月140円~265円/㎡・月
                10,000㎡以上      178円/㎡       ・月135円~220円/㎡・月
【20階以上】                           206円/㎡       ・月170円~245円/㎡・月
②機械式駐車場がある場合の加算額(B)   
  機械式駐車場の機種            機械式駐車場の修繕工事費(1台当たりの月額)
  2段(ピット1段)昇降式           7,085円/台・月
  3段(ピット2段)昇降式              6,040円/台・月
  3段(ピット1段)昇降横行式           8,540円/台・月
  4段(ピット2段)昇降横行式         14,165円/台・月

詳細については国土交通省のホームページリンクをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/tsumitate2304.pdf#search=%27%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BF%AE%E7%B9%95%E7%A9%8D%E7%AB%8B%E9%87%91%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%27

次回は「修繕積立金の額の設定方法」についてです。

長期修繕計画と修繕積立金について  Vol.4

~長期修繕計画の法的位置づけ~

みなさま、こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。

分譲マンションの長期修繕計画の内容や作成は法令等によって義務付けられているわけではありません。
基本的に管理組合の規約や総会の決議に基づいて作成されるものです。
分譲マンションの長期修繕計画について、平成20年6月に、国土交通省から「長期修繕計画標準様式」及び「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(ガイドライン)が公表されています。

国土交通省の標準様式は、管理組合において長期修繕計画の作成や見直しを行う場合の「参考」と位置づけられています。
標準的な修繕工事項目として、中項目19・小項目50に細分化し、それぞれについて概算工事費の算出根拠を明示する内容になっています。
長期修繕計画については、あくまで「修繕積立金(毎月の積立額)の裏付け」になればいいのであって、必ず国が公表している標準仕様を準拠して作成するというわけではありません。

次回はマンションの修繕積立金に関するガイドラインについてです。

長期修繕計画と修繕積立金について  Vol.3

~長期修繕計画と修繕積立金の歴史~

みなさま、こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。
今回は「長期修繕計画と修繕積立金の歴史」についてです。

昭和の時代に分譲されたマンションは、建物の維持管理について計画的に修繕工事を実施しないといけないことは理解していながら、「計画性」という概念がほとんどありませんでした。
また現在の長期修繕計画のようなものを根拠として、修繕積立金の算出はしていませんでした。
昭和時代の新築分譲の修繕積立金の積立額は、管理費の10%相当額に設定するようなことが当たり前のように行われていました。この積立額の設定方法は、全く専門性を伴わないものです。

【平成4年】
旧建設省(建設経済局及び住宅局)から、マンション分譲事業者(デベロッパー)はマンション分譲時に、購入者や管理組合に対し以下のことの周知に努めるように通達がされました。
管理業者(管理会社)は管理受託時に、マンションの実態に即した長期修繕計画の策定、これに基づく適切な修繕積立金の積立及び適時の劣化診断の実施の必要性に関すること。
そして、マンションの新築分譲において、購入者に対する「長期修繕計画の提示」と「修繕積立金の根拠」が示されるようになりました。

【平成9年】
マンション管理の分野において、旧建設省(建設経済局及び住宅局)から公表されていた中高層共同住宅標準管理規約(現在の標準管理規約)について、「長期修繕計画の作成や変更を管理組合の業務として位置付ける」旨の改正が行われました。

昭和、平成の初めに分譲されたマンションの場合、現在の修繕積立金が専門性に則って妥当かどうかを確認する必要が有ります。確認を先延ばしにしていると、修正にも時間がかかります。
でも、どこから手を付けたらいいのかわからないという、管理組合の役員の皆様は、是非お気軽にご連絡ください。

次回は「長期修繕計画の法的位置づけ」についてです。

長期修繕計画と修繕積立金について Vol.2

~修繕積立金の必要性について~

こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。
 
修繕費を積み立てずに、修繕工事を行うたびに、必要な費用を区分所有者から徴収して、工事費等の支払いをするような方法で対応することもできますが、非常に大変です。
例えば、150戸のマンションで、大規模修繕工事の予算が約1億3千万円だとします。
単純に1億3千万円÷150戸で、戸当たり約87万円の工事費が必要になりますから、総会の決議に基づいて期間内に全戸から87万円を修繕一時金として徴収することになります。
工事の実施は分かっていても、全員から徴収することが出来なければ、大規模修繕工事は頓挫し実施できません。
そうならないために、修繕に必要な費用、計画修繕の対象となる建物・設備などの部分、修繕の時期を、あらかじめ「長期修繕計画」として定めます。

修繕に必要な費用として一定の期間内に見込まれる合計金額を計画策定期間の月数(30年の場合は360)で除(÷)して1カ月当たりの費用を算出ます。
更にそれを専有部分の床面積の割合で按分して一戸当たりの費用として「修繕積立金の積立額」を算出します。
これを計画的に積み立てて将来の修繕の備えとして、区分所有者は管理費と共に毎月、修繕積立金を管理組合に納入します。

いつ頃、建物・設備のどこを、いくらぐらいの費用で、修繕するのかを長期的に把握し、その備えとして修繕積立金を計画的に積み立てることになることから、長期修繕計画には「修繕積立金の裏付けとなること」が求められます。

計画的な修繕工事はマンションの資産価値維持・向上にとって大切です。
しかし、あくまでも計画ですから、長期修繕計画どおりに杓子(しゃくし)定規に修繕工事を行う必要はありませんが、修繕時期が近づいたら劣化診断等を行って修繕工事を行うべきかを確認することが必要です。
 
次回は「長期修繕計画と修繕積立金の歴史」についてです。

長期修繕計画と修繕積立金について Vol.1

~管理組合の長期修繕計画作成の目的と意義~

みなさま、こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。

計画的な修繕工事はマンションの資産価値維持・向上にとって大切です。
長期修繕計画書は、マンションの建物・設備及び外構の資産価値の低下を防ぎ、快適な居住環境を維持し、さらには向上させるための指標として作成します。
どんな建物も時間とともに劣化し、性能が低下するのは避けられません。そこで新築当初の性能を出来るだけ失うことのないようにして、より快適で安全な住環境を維持することを目的としています。
建物の寿命は日常の手入れに左右されるため、定期的に維持保全に努めれば耐用年数を延ばすことが可能ですが、逆に手を加えず放置すれば耐用年数は短くなります。したがって長期的な展望にたって計画的に修繕を行う事により、建物を初期の性能に近い状態に保つ事が可能となります。
長期修繕計画書の作成目的は、将来に向けての維持・管理に関しての計画を見直すことにあります。
長期修繕計画書の作成は、一定期間の建物の維持・管理の指標となるだけでなく、総会においてその計画を承認してもらうことにより、共用部分の適切な管理について居住者間の合意を良好に形成する効果があります。また、それに伴う適切で無駄のない合理的な修繕積立金の額を予測する事も重要な役割となります。

次回は修繕積立金の必要性についてです。

平成26年度のマンション管理士ガイドに載りました。

こんにちは。川崎・横浜を中心に首都圏で活動しているマンション管理士の横倉啓子です。

マンション管理士試験の受験勧奨リーフレット「国家資格マンション管理士ガイド」の平成26年度版の製作にあたり、同リーフレット中の「活躍するマンション管理士」のページに「女性」枠で推薦が有りました。
毎年以下の条件の「属性」に準じて推薦するそうです。
・女性のマンション管理士 = 「女性」
・活発に活躍しているマンション管理士(例えば、事務所等を開設)= 「成業者」
・技術関係の資格を有するマンション管理士 = 「技術系資格保有者」
・現役をリタイヤした後、第二の人生として活躍するマンション管理士 = 「リタイヤ世代」
※26年度のマンション管理士ガイドをご覧ください。

ガイド

「マンションと地域の連携・共助による地域防災力の強化に関する研究」からマンション管理士の新たな役割

こんにちは 川崎・横浜、首都圏で活動している横倉啓子です。

今年の3月中頃、国土交通省国土交通政策研究所から突然ヒアリングの依頼が有りました。
趣旨は、国土交通政策研究所で調査研究を行っている「マンションと地域の共助による地域防災力強化方策の検討」について報告書をとりまとめるにあたって、特にハード面での具体的な共助促進策として「マンションと地域の連携、共助に関する問題点の整理」と、「地域防災力強化のあり方・方策の検討」について、マンション管理士の専門的立場からの意見が知りたいというものでした。
私の、マンション管理士としての当事者ではない外部の第三者の立場の観点、実務の経験、管理組合との信頼関係の構築、専門的な考え等を総合的にまとめた資料等を持参して、3月20日のヒアリングに臨み、1時間半熱く語ってきました。
マンション管理士の名称がその報告書に載ればいい、という思いを込めレポートを国土交通政策研究所に提出しました。
5月28日に国土交通政策研究所が「マンションと地域の連携・共助による地域防災力の強化に関する研究」の研究発表を行いました。
そして、マンション管理士の名称が以下のように記載されていました。
■地域防災力強化のあり方
Ⅳ 各関係主体の強み・弱みを活かした連携、共助
マンション管理組合と町内会の連携、共助の関係だけでは地域防災は成り立たない。マンションと地域の連携、共助の方向は、ディベロッパーやマンション管理会社、マンション管理士、行政等、それぞれの関係主体が強みと弱みを生かして検討する必要がある。
■各関係主体の強み・弱みを活かした地域防災力強化の考え方
  ●強み(得意分野)     マンション管理に関する幅広い知見を有する
  ●弱み(苦手分野)     マンションの管理、運営の専門家としての認知度が低い
  ●整備・管理における役割 ・地域の実情に応じたマンションに必要な地域防災機能に対する助言・指導 ・各主体間の整備(特に管理組合と町内会)    
  ●効果  マンション管理士の地位向上
※ 国土交通省国土交通政策研究所  http://www.mlit.go.jp/pri/(5月28日)発表会での資料

マンションと地域の連携・共助による地域防災力の強化に関する研究

http://www.mlit.go.jp/pri/kouenkai/syousai/pdf/research-p140528/04.pdf#search=%27%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E9%80%A3%E6%90%BA%E3%83%BB%E5%85%B1%E5%8A%A9%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E9%98%B2%E7%81%BD%E5%8A%9B%E3%81%AE%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%27

マンション管理士は、マンション管理、運営の専門家としてだけでなく、マンションを活用した地域防災の専門家として新たな役割を期待されているということではないでしょうか。
今回の報告書がマンション管理士の地位向上の一歩になればと思います。

管理組合の特性と問題点とは

川崎・横浜首都圏を中心にマンション管理士として実務活動をしている。横倉啓子です。

雨に濡れて紫陽花が咲き始めました。

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管理組合の特性と問題点を考えてみます。
前回から引き続いて重要な役割を担っている団体…管理組合のいくつか特性と問題点ついて実務に携わっている観点から考えたいと思います。

■莫大な資産を管理する団体なのに運営(マネジメント)や適正なマンション管理のことをよくわからない人たちで行わなければならない。
  例えば概算ですがマンションの不動産価値が1戸3000万円とした場合、戸数が100戸のマンションだったら約30億という資産のマンションということに なります。この30億円という大きなな資産を管理・運営をする団体が管理組合なのです。自分達の資産であるマンションを自分たちで維持管理するという趣旨 は正論ですが、管理運営を適正にきちんと行うことがとても重要です。
 多くのマンション管理組合の場合では、重大な意思決定をマンションの管理・運営についてよく分からず、専門的知識の少ない区分所有者さんたちで進めて、結果知らないところでかなりの損失をしている場合が多く見受けられます。
■意志決定に時間がかかる → 先送りになりやすい。
 管理に関する事項は原則として総会の決議を経て実施することになっており、総会に諮る議案を作成するための理事会は、ほとんどの管理組合ではせいぜい月に1回位しか開催されてい無いところが多いです。
  また働き盛りの役員の方はご自分のお仕事が日々お忙しくて、管理組合の活動の負担が大きく、月一回開催される理事会に出席することさえできないこともあり ます。このような状況が繰り返されてマンションにとって重要な意思決定が先送りになってしまう事態はどこのマンションでも結構見かけられます。
■外部からマンションの実情に合った個別の有益な情報がなかなか入ってこない。
  ここ数年様々なところでマンションセミナーが開催されていますが、みな一般的なお話が多くそれなり一般的な情報は得られます。またパソコンを開いてイン ターネットにつなげれば一般的な情報はすぐ手に入ることができます。書店にはマンション管理の本もいくつか並んでいます。
 しかし、マンションで発生する多くのトラブルの場合、ごく一部を除いては個々のマンションの事情によるものがほとんどです。 
 現実のリアルなトラブルを抱えた多くの管理組合にとって、一般的な情報ではなく、自分の管理組合の実情に合った個別の問題トやラブルに対応できる情報はなかなか手に入れることは難しいです。
  またいつでもどこでも手に入る一般的な情報を基に、役員の皆さんが問題の解決を図ろうとしても、更におおきな壁にぶつかって、問題解決の糸口がみつからず 時間ばかり過ぎてしまい、その壁が段々大きくなりどのように手を付けたらいいのか悩まれている役員さんをよく見かけます。
■「自主性」と「専門性」、「理事の負担の公平性」と「継続性」が同時に成り立たないことが多い。その結果‥‥どのような維持管理が行われているのか?以下が理想と現実の大きなギャップです。

■規約や法律に則った運営がされていない…
 ・規約や法律に従った判断がされずに衡平性が維持できない。
 ・年度によって理事会の判断が違ってくる。
 ・専有部と共用部分の区分がマチマチ
 ・理事会で決められないことを理事会で決めている。
■無駄な管理コストを負担している。
 ・適正な価格競争の基に発注が行われていない。
 ・保険が適用できるのに、自費負担している。

そこで‥‥円滑な管理組合運営のために意識してほしいこと!
①公平であること
 敷地・建物の「形状」「面積」「位置関係」「使用目的」「利用状況」などを総合的に考慮して区分所有者の利害の衡平が図られるようにすること。
② 合理的であること
 逆から見ると不公平や不満が区分所有者の受忍限度内であること
③ 民主主義について
 全員一致にすることなのでしょうか? 長老年長者の意見に従うことなのでしょうか? 声の大きな人の意見が通るのことなのでしょうか?
 本当の民主主義とは多数意見を採用して、前進することでありますが、
⇒ 一時的には不平不満が残ることも有り得るため、その結果を検証してよりよく修正していくことがとても重要です。

さらに…理事会が重要なこと!

◎完璧な手続き
 キーワードは「合理性」と「説明責任」です。 
 多くの組合員は理事会には、とても感謝をしている。しかし、日常の活動や議論内容を知らないため、つい不安や不信に思うことがあるのです。
⇒ 組合員が納得する合理的な選択の積み重ね、必要に応じた適切な広報活動等が必要です。
 ※理事会が区分所有者に対して、説明を尽くす必要があることに注意することが大変重要です。

※ 共用部分(共有財産)を長く維持し、生活環境をよりよい状態に保ってゆくためには、適正な維持管理を全員で行うしか方法はありません。
※ 共用部分は最新の技術を駆使した構造、設備が多いため ⇒ 高度で専門的な知識とスキルが必要になってきます。
⇒ ポイント!!専門家の関与が必要になってきます。
  管理組合の良きパートナーである管理会社を含めた専門家をきちんとセレクトして上手に活用することがカギになります。

円滑な管理組合運営のために意識してほしいこと!

川崎・横浜・首都圏を中心にマンション管理士として実務活動をしている。横倉啓子です。

一か月前までは桜が満開でした。今は葉桜になりハナミズキが咲きはじめました。4月5月6月は多くの管理組合さんで総会を開催される季節です。

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前回は管理組合の4つの特性について考えてみました。管理組合の特性上、問題点があるのは当然のことです。
【管理組合の問題点】
■規約や法律に則ってきちんと運営がされていない…
 ・規約や法律に従った判断がされずに衡平性が維持できない。
 ・年度によって理事会の判断が違ってくる。
 ・専有部と共用部分の区分がマチマチ
 ・理事会で決められないことを理事会で決めている。
■無駄な管理コストを負担している。
 ・適正な価格競争の基に発注が行われていない。
 ・保険が適用できるのに、自費負担している。

そこで‥‥円滑な管理組合運営のために意識してほしいことは…!
◎公平であること
  敷地・建物の「形状」「面積」「位置関係」「使用目的」「利用状況」などを総合的に考慮して区分所有者の利害の衡平が図られるようにすること。
◎合理的であること
  逆に見て、見たとき不公平や不満が区分所有者の受忍限度内であること
◎きちんとした民主主義であること
  全員一致にすることなのでしょうか? 
  年長者の意見に従うことなのでしょうか? 
  声の大きな人の意見が通ることなのでしょうか?
  本当の民主主義とは多数意見を採用して、前進することですが、
⇒ 一時的には不平不満が残ることも有り得るため、その結果を検証してよりよく修正していくことがとても重要です。

さらに…理事会で最も重要なこと!!!

◎完璧な手続き
 キーワードは「合理性」と「説明責任」です。 
 多くの組合員の方々は、理事会に、とても感謝をしています。
 しかし、詳細な日常の活動や議論内容を知らないため、つい不安や不信を感じることがあるのです。
⇒ だから理事会は、組合員が納得する合理的な選択を積み重ね、必要に応じた適切な広報活動等が必要です。

※  理事会が組合員の方々に対して、説明を尽くすことが大変重要で注意が必要です。
※ 共用部分(共有財産)を長く維持し、生活環境をよりよい状態に保ってゆくためには、適正な維持管理を全員で行うしか方法はありません。
※ また共用部分は最新の技術を駆使した構造、設備等が多いため ⇒ 高度で専門的な知識とスキルが必要になってきます。

⇒ 適正な管理をするための一つの手段として専門家の関与が挙げられます。
  管理組合の良きパートナーである管理会社と『専門家をきちんとセレクトして上手に活用すること』が適正な管理運営のキーワードになります。

次回は管理会社とマンション管理士の業務の違いなどについてお話をいたします。

管理組合運営は難しいのがあたりまえ?!

こんにちは。川崎・横浜・首都圏を中心にマンション管理士として実務活動をしている。横倉啓子です。

前回から引き続き、重要な役割を担っている団体…管理組合の特性について考えます。

【管理組合の4つの特性】
①莫大な資産を管理する団体なのに運営(マネジメント)や適正なマンション管理のことをよくわからない人たちで行わなければならない。
 例えば概算ですがマンションの不動産価値が1戸3000万円とした場合、戸数が100戸のマンションだった ら資産が約30億のマンションということになります。
 その資産約30億円のマンション共用部分の管理・運営をする団体が管理組合なのです。
 自分達だけで維持管理・運営をするという趣旨は正論ですが、適正にきちんと行うことがとても重要です。
 多くの管理組合の場合、マンションの管理・運営についてよく分からない区分所有者の皆さんで進め、重大 な意思決定をした結果、知らないところでかなりの損失をしている場合が多く見受けられます。
②意志決定に時間がかかる → 先送りになりやすい。
 マンションの管理に関する事項は原則として、総会の決議を経て実施することになっていますが、総会に  諮る議案を作成するための理事会は、ほとんどの管理組合ではせいぜい月に1回位しか開催されていな いところが多いです。
 また働き盛りの役員の方はお仕事が日々忙しくて、管理組合の活動の負担が大きく、月一回開催される理 事会に出席することさえできないこともあります。
 このような状況が繰り返されて、マンションにとって重要な意思決定が先送りになってしまう事態は、どこの マンションでも見かけられます。
③外部から自分のマンションの実情に合った個別の有益な情報がなかなか入ってこない。
 ここ数年様々な所でマンション管理セミナーが開催されておりますが、一般的な話が多く一般的な情報は  得られます。
 またパソコンを開いてインターネットにつなげば、情報はすぐ手に入ります。書店に行けばマンション管理の 本がいくつも並んでいます。
 しかし、マンションで発生する多くのトラブルの場合、ごく一部を除いては個々のマンションの事情によるも のがほとんどです。 
 リアルなトラブルを抱えた多くの管理組合にとって、一般的な情報ではなく、実情に合った個別の問題やト ラブルに対応できる情報を手に入れません。
 またいつでもどこでも簡単に手に入る一般的な情報を元に、役員の皆さんが問題の解決を図ろうとしても、 更におおきな壁にぶつかって、問題解決の糸口がみつからず時間ばかり過ぎてしまい、その壁が段々大  きくなり、どこから手を付けたらいいのか悩んでいらっしゃいます。
④「自主性」と「専門性」、「理事の負担の公平性」と「継続性」が同時に成り立たないことが多い。
 例えば、自分たちで何でもかんでもやろうする自主・自力管理は、主体性・自主性は確保できますが、法  律・技術・会計・財務の専門性を導き出すことは非常に難しいです。
 反対にマンション管理を専門の業務としている管理会社に委託して、全てを任せてしまえば役員はかなり 楽になります。しかし管理会社からの提案に対して、管理組合にとってあまり好ましくないのかなど判断が 出来ずに、管理組合は主体性のない管理しかできなくなる可能性が大きいです。
 また特定の1人の方が何年も役員をやってくだされば管理の継続性の確保はできます。しかし1人への負 担が大きく公平性を欠くことになります。この方がお引越しなどされてしまったら残った人たちは何もわから ない状態に陥ります。
 皆が公平に役員をやるために1年交代の輪番制で役員になる。多くの管理組合では、次の期に事業の継 承がままならず、管理組合の事業の継続が段々損なわれていきます。

以上から管理組合の4つの特性から、管理組合運営は元々うまくいかないように出来ているのではないかと思わずにはいられません。