Los Angelesコンドミニアム視察旅行記 Vol.2〜HOAとその管理実態


IMGP3040          地図の貼り絵

宿泊したホテル前         アメリカの地図で作ったチワワの貼絵

日本の管理組合に該当するHOA

コンドミニアムや住宅地全体等の管理は「ホームオーナーズ・アソシエーション」(home-owners association)通称HOAと呼ばれる組織が行ないます。
HOAの目的は資産保全です。
ホームオーナーとは日本の区分所有者のような人達のことを言い、日本では組合員から役員を選任して理事会を構成するのが一般的ですが、HOAでは立候補したホームオーナーの有志たちが役員となります。
日本のように公平に1~2年くらいの任期で交代したり、輪番制で決めるのではありません。何年も続けている役員もいるそうです。
しかし、アメリカのホームオーナーたちは現役世代が多く、仕事が忙しかったりしてなかなか代表者のなり手がなかったり、管理に関心が低いホームオーナーもいるという話を伺いました。(この部分は日本でも同じですね。)
日本の理事会のようにHOA役員のミーティングも定例で行われます。このミーティングはホームオーナーなら誰でも参加する権利があります。
役員たちはコンドミニアムの補修、メンテナンス計画に関わる予算やルール等を決めます。
専門の管理会社を先行して全体の管理を任せたり、コンドミニアム全体に必要な保険をかける際は保険会社の選考をして依頼したりします。

HOAの管理の実態

先にも述べましたが、コンドミニアム等の管理はHOAと呼ばれる組織が行ないます。
コンドミニアムの管理制度は日本の理事会制度とよく似ていますが、日本と違い管理者方式を採用していないため、管理者選任規定はないようです。
前述のとおり、HOAが専門の管理会社を選考して管理を外部委託したり、また直接清掃会社などと契約しているケースもあります。なお、規約のようなものも作られています。
皆様ご存知の通り、日本のマンションでは窓サッシや玄関扉の外側面は共用部分になるため、「この色が好きだから」「デザインが好きだから」「材質がいいから」と言って個々人で勝手に変えることはできません。
アメリカの場合も、HOAが分譲時のコンセプトに基づき、住宅地全体の街並みも含めてコンドミニアムのデザイン等の管理を行なうため、いくら戸建のコンドミニアムであっても自分勝手に屋根や外壁などの塗装色を変えたり材質を変えることはできません。
日本では専用使用権のある共用部分等(例えばバルコニーや専用庭等)の通常の使用に伴う管理は、使用している人がきちんと日常の清掃等の管理を行なうことになっています。
アメリカでも、コンドミニアムの自宅の庭の芝生等は自分で管理を行ないますが、芝が伸びていると近所から苦情の手紙などが直接本人のポストに入っていたり、HOAから芝を刈るように指示が来ます。何故なら先にも書いた通りHOAの目的は資産保全であり、芝の手入れがされてないことで街全体の雰囲気が損なわれてしまうと目的そのものに反してしまうからです。また、庭に樹木を植える場合は両隣の許可だけでなくHOAの許可も必要になります。
また、日本とアメリカでは国土の面積の違いから、維持管理内容も異なっていると考えられます。
国土の狭い日本では、建物は上へ上へと伸びるため、エレベーターが必要になり、戸数分の駐車場を確保するために機械式駐車場の設置をしなければならず、それらの設備の維持管理が重要な課題となります。
アメリカは広大な土地があることから、ゆったりと敷地をとって駐車場付きタウンハウスや戸建住宅に近い形態のコンドミニアムが建てられます。特に視察したロサンゼルスでは地震も湿度も少ないため、5階くらいまでであれば木造のツーバイフォー(※2)で造られるそうです。(実際、視察をした住宅地域ではほとんどが木造建築で、機械式駐車場は1件も見かけませんでした。)更にHOAが、住宅地内にある共有財産の遊歩道、植栽、公園、レクリエーション施設(プールやテニスコート、クラブハウス等)の日常の管理や住宅地全体のランドスケープ(※3)の計画を行ないますが、これは日本の団地における施設や植栽管理と似ているところがあります。
日本では機械式駐車場の維持管理や修繕等が検討課題となるところが多く見受けられますが、アメリカでは植栽や芝生などの維持管理やシロアリ駆除、ランドスケープの計画維持管理等に費用をかけています。

 ※2 ツーバイフォー…枠組壁工法。北米を中心に行われている木造住宅工法。主に断面が38mm×89mm(2インチ×4インチ)の木材を使用することから2×4(two by four)工法と呼ばれる。枠組壁工法の定義は、木材で組まれた枠組に構造用合板その他これに類するものを打ち付けた床及び壁により建築物を建築する工法。

 ※3 ランドスケープ(landscape)…景観を構成する諸要素。ある土地における資源、環境、歴史などの要素が構築する経済的、社会的シンボルや空間、またはそのシンボル群や空間が作る都市そのもの。

 

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