川崎市 特例直結直圧方式による給水の階数制限の撤廃について


こんにちはマンション管理士の横倉啓子です。

川崎市が、「直結給水」の範囲を拡大しました。

はじめに直結給水とは?道路などに埋設されている配水管から、受水槽を経由せずに、直接各家庭の蛇口に、水道水を供給する給水方式のことです。
直結給水には、「直結直圧式給水」と「直結増圧式給水」の2種類があります。
川崎市の給水方式の場合、大別して「直結給水」と「受水槽式給水」があり、さらに直結給水は、「直結直圧式給水」、「特例直結直圧式給水」、「直結増圧式給水」に分類されています。
また、「直結直圧式給水」には、3階までの建築物を対象とした「直結直圧式給水」と4階以上の建築物を対象とする「特例直結直圧式給水」の2種類があり、特例直結直圧式給水は、本来であれば直結増圧式給水となる建築物に対して、暫定的に増圧給水設備の設置を猶予し、直圧式で給水する方式です。

川崎市 特例直結直圧方式による給水の階数制限の撤廃について(平成26年2月1日施行) 報道発表資料を引用します。

水道の給水方式には、配水管の水圧を利用して給水する直結方式と受水槽を経由してポンプ等で給水する受水槽方式があます。
直結方式には、おいしい水の給水、停電時における給水の継続、省エネルギーといった様々なメリットがあります。
川崎市では、これまで配水管網の整備などを推進することにより、配水管の水圧を確保し、直結方式により給水が可能な建物の階数を順次拡大してきました。
このたび、5階建までの建物に限定している特例直結直圧方式の設計水圧上限値を0.35Mpa(メガパスカル)を0.40Mpaに引き上げ、水理計算上可能な階数まで給水可能とし、平成26年2月から階数制限を撤廃することとしました。

1 給水方式の種類
※1 直結直圧方式:配水管の水圧のみで給水する方式
※2 直結増圧方式:配水管の水圧を増圧ポンプで増圧して高層階に給水する方式
※3 特例直結直圧方式:4階以上への直結方式による給水に当たり、当該建物に給水する配水管の水圧等を踏まえ、増圧ポンプの設置を猶予し、直結直圧方式により給水する方式

2 直結方式による給水の経緯
平成 元年 4月 3階建て専用住宅(3階直結直圧方式)
平成 5年10月 3階建て共同住宅等(3階直結直圧方式)
平成11年 7月 10階建てまでの共同住宅等(直結増圧方式)
平成17年 8月 階数制限撤廃(直結増圧方式)5階建て共同住宅等(特例直結直圧方式)

3 改正内容
(1)特例直結直圧方式の階数制限を撤廃する。
(2)特例直結直圧方式の設計水圧上限値を0.35Mpaから0.40Mpaに引き上げる。
(3)特例直結直圧方式と他の給水方式の併用を認める。

4 直結直圧方式による給水の階数制限の撤廃の効果
(1)おいしい水の給水
   清掃に関する基準がない小規模受水槽が減少することにより、より一層おいしい水の給水が可能となります。
(2)停電時における給水の継続
   直結直圧方式は配水管の水圧のみで給水するため、建物が停電となっても給水を継続することができます。
(3)省エネルギー
   今回の直結直圧方式の階数制限の撤廃による二酸化炭素の削減量は、1日当たり3.3tと試算され(※4)、これは約8万6000本のスギの木が1日に吸収する二酸化炭素量に相当します。
 ※4 6階建及び7階建の建物の約3割が受水槽方式から直結直圧方式に切り替わることを想定して算出
(以上引用ここまで)

直結直圧方式

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管理組合が、特例直結直圧式給水を検討する場合、総会の決議が必要です。
既存の給水設備・装置からの変更するには、配水管の取付口の口径(75mm以下)の条件が満たされているか、
水圧設計水圧上0.40Mpaの水圧に既存の配水管が耐えられるか等…
基本的に直結直圧式給水と同じだそうですが、当該建物への直結方式による給水に当たり、配水管の水圧が低下したときには「直結増圧式給水」に変更することとになります。
そのため、あらかじめ増圧ポンプの設置スペースや設置費用を準備しておく必要がある点が、直結直圧式給水と異なります。

【直結増圧式給水】
直結増圧式給水概念図 増圧ポンプを使って配水管の水圧に加圧して給水する方式です。受水槽を設置しないため、土地の有効利用や受水槽清掃の手間を省くことができるなどのメリットがありますが、貯水機能がないため、断水などのときは直結直圧式給水と同じ対応が必要になります。また、断水後の赤い水などが増圧ポンプに流入することにより、故障の原因となることがありますので、増圧ポンプの給水バルブを閉めておくなどの対応をしておき、増圧ポンプを経由しない散水栓などで水の状態を確認してから、増圧ポンプの使用を再開する必要があります。
〈メリット〉
    配水管の水を直接給水することができるため、より新鮮な水の給水ができます。
    配水管の水圧を利用して給水するため、受水槽式給水に比べて省エネルギー効果があります。
    受水槽を設置する必要がありません。そのため、受水槽の設置、維持管理(定期点検、清掃等)が必要ありません。また、受水槽の設置スペースを有効利用することができます。
〈デメリット〉
    建築物の規模に一定の制限があります。
    増圧ポンプの設置が必要です。
    増圧ポンプの維持管理(定期点検等)や断水時の適切な対応が必要となります。
    貯水機能がないため、断水等のときには水の使用ができなくなります。そのため、緊急時に水の使用が適用できません。

以上が直結増圧式給水の一般的なメリ・デメです。
各管理組合の現状、特性等を充分理解して、慎重に検討することを願います。
ご相談希望の管理組合さまは、お気軽にご連絡ください。

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