~修繕積立金の必要性について~
こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。
修繕費を積み立てずに、修繕工事を行うたびに、必要な費用を区分所有者から徴収して、工事費等の支払いをするような方法で対応することもできますが、非常に大変です。
例えば、150戸のマンションで、大規模修繕工事の予算が約1億3千万円だとします。
単純に1億3千万円÷150戸で、戸当たり約87万円の工事費が必要になりますから、総会の決議に基づいて期間内に全戸から87万円を修繕一時金として徴収することになります。
工事の実施は分かっていても、全員から徴収することが出来なければ、大規模修繕工事は頓挫し実施できません。
そうならないために、修繕に必要な費用、計画修繕の対象となる建物・設備などの部分、修繕の時期を、あらかじめ「長期修繕計画」として定めます。
修繕に必要な費用として一定の期間内に見込まれる合計金額を計画策定期間の月数(30年の場合は360)で除(÷)して1カ月当たりの費用を算出ます。
更にそれを専有部分の床面積の割合で按分して一戸当たりの費用として「修繕積立金の積立額」を算出します。
これを計画的に積み立てて将来の修繕の備えとして、区分所有者は管理費と共に毎月、修繕積立金を管理組合に納入します。
いつ頃、建物・設備のどこを、いくらぐらいの費用で、修繕するのかを長期的に把握し、その備えとして修繕積立金を計画的に積み立てることになることから、長期修繕計画には「修繕積立金の裏付けとなること」が求められます。
計画的な修繕工事はマンションの資産価値維持・向上にとって大切です。
しかし、あくまでも計画ですから、長期修繕計画どおりに杓子(しゃくし)定規に修繕工事を行う必要はありませんが、修繕時期が近づいたら劣化診断等を行って修繕工事を行うべきかを確認することが必要です。
次回は「長期修繕計画と修繕積立金の歴史」についてです。