長期修繕計画と修繕積立金について Vol.7


~長期修繕計画見直し再検討について~

みなさま、こんにちは 川崎・横浜・首都圏を中心に活動しているマンション管理士の横倉啓子です。
 
管理規約の規定により、長期修繕計画の見直しや修繕積立金の改訂は総会の議決事項となっています。
また、長期修繕計画が総会で決議(承認)されたとしても、個々の工事の実施や修繕積立金の改定に関しては、別途総会の決議が必要となります。
長期修繕計画書の通りに実行されるとは限りませんし、また必ずしもこの通りに実行する必要もありません。あくまでも目安であり、その時々で工事を実施するかどうかを判断されたらよいと考えます。

工事価格は変動する可能性があり、経済情勢、社会情勢も時代と共に変化します。
長期修繕計画は定期的(概ね5~6年ごと)に見直すべき性質のものです。
数年後ごとに、法律の変更、生活水準の向上などをふまえて以下のようなことを検討して見直すことも必要です。
消費税増税に伴う工事費の増額が挙げられます。平成26年4月から8%、近い将来には10%の消費税が工事費に上乗せされますので、税率アップに対する新たな積立金が必要となります。
35年~40年目には給排水設備の更新の必要性が説かれています。
   給排水設備の工事費は、共用部分のほか、構造上専有部分を含めて一緒に行う方が効率的であるため、もし専有部分の工事費を計上する場合は、高額な給排水設備工事に対する新たな積立金が必要となります。
③ 多くの管理組合の長期修繕計画にはグレードアップ等、改良・改善の工事の実施が盛り込まれていません。
   将来グレードアップ工事の要素を考慮することは欠かせないと考えられるので、これに伴う想定外の工事の実施に対する備えが求められます。(階段⇒スロープ、バリアフリーなど)
クルマ離れの現象
  多くの管理組合では修繕資金計画において、駐車場使用料収入への依存度が高い中、高齢化や若者の車所持数減少に伴う「クルマ離れの現象」等から、近い将来において駐車場使用料の収入が減少する可能性が考えられます。
自然災害によって被災した場合の補修等について
  直下型の大地震の発生など自然災害で被災した場合の補修をはじめとした「不測の事態の発生に伴う修繕」の実施を見込んでおらず、被災箇所の補修などは自費で対応する可能性を考慮する必要が有ります。

長期修繕計画の工事費は、原則として設計価格で計上していますので、発注時には、競争原理を適正に働かせ、極力工事費を抑えていく努力が望まれます。
これらを実現するためには、マンション管理士等の外部専門家の活用が有効と考えます。

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